消滅可能性自治体

私の実家は、奥会津の寒村にある。
日本で2番目に限界自治体となったところだ。
限界自治体となって10年はとっくに過ぎたが、まだ存続している。

先ごろ、消滅可能性自治体が発表された。

若年女性人口が2020年から2050年までの30年間で50%以上減少する自治体を「消滅可能性自治体」と定義される。

我が故郷は、「消滅可能性自治体」の最低ランクにはならなかったが、何のことはない、若年女性数の母数が少ないだけで、半減する若年女性人口がそもそもなかった。

そんな故郷ではあるが実家と先祖代々の墓がある。
実家は、一昨年相続して私の名義にした。
しかし空き家のままで、年に二、三回帰省するだけとなっている。
幸い、移住してきた隣の家族からその家を買いたいとのオファーがあった。

助かる。
爺さんが建てたコンクリの蔵と明治元年築のでかい家屋を処分するとなると数百万はかかるだろう。引き取ってくれるだけでもありがたい。

ただ、家の中には仏壇があり、仏壇には先祖代々の無数の位牌がある。

私の今の住まいはURでアール。仏壇もなく、位牌を置くところもない。

そこで菩提寺の住職に無数の位牌を一つにまとめる供養をしてもらうことになった。無数の位牌を過去帳にまとめてもらい位牌は二つくらいにする。

限界自治体の故郷を出て40年くらい経つか。
去年から実家の40数箇所にわたる不動産の固定資産税、火災保険、清水からの水道代、などを払うことになった。

私名義の不動産は、限界自治体だけでなく東京練馬にもある。あった。今年一月に売却した。
売却先はその不動産の隣の家の方のお兄さん。
フランス文学者で、ランボーなどの詩を翻訳してた方だ。その方は、この4月19日に亡くなった。ネットニュースに出ていたので著名な方だったのだろう。その方は96歳で、相続の事を考えていたのだろうな。
現金より不動産にしておいた方が税金的に有利となる。

会津の実家と練馬の家屋。
これらを処分して、いよいよ私は根無草となるのか。

いや、私にはURがアール。